2014年1月30日木曜日

解説「フランスの児童ポルノ規制」

 フランスの児童ポルノ規制の問題点について、京都大学の曽我部真裕教授が解説して下さいました。ぜひご覧くださいませ。

「フランスの児童ポルノ規制」
http://www.scribd.com/fullscreen/203374735


【抜粋「フランスの児童ポルノ規制」】
「フランスの立法は政治主導でなされることが多いが,児童ポルノ規制についても同様である(その結果,個別には触れないが,条文には技術的な不備も散見される)。児童ポルノ規制については,児童の保護という異論の余地のない正当な目的がある一方で,規制される側は小児愛者という性的少数者,あるいはせいぜいオタクたちであり,両者を同視するわけではないが,いずれにしても社会の多数派からの偏見を受けやすい少数者である。こうした構造のもとにおいては,過剰規制がなされやすいことは明らかであり,フランスでは実際に多数回に渡る改正により網羅的な規制が実現しているのである。日本でも児童ポルノ規制はある種の政治主導で行われており,同様の道をたどる可能性も否定できない。
 これに対応するためには,せめて緻密な立法目的やそのための規制手段の分析が必要である。しかし,フランスでは前述のように立法目的が「小児愛とのたたかい」といった抽象的なレベルで行われており,理論によって規制強化の流れに歯止めをかける構図にはなっていない。この点,日本では事情が異なるが,それによってフランスのような道をたどることを避けることができるだろうか。」



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