足を運んでくださった皆様、講師の園田寿先生、会場を手配してくださった細野豪志大臣と、その議員事務所の皆様に、改めまして厚くお礼を申し上げます。
当日配布資料(PDF)
演題:児童ポルノ禁止法に関する院内勉強会 (第1回)
「児童ポルノ禁止法の問題点」
講師:園田 寿 (甲南大学 法科大学院 教授)
日時:4月24日(火) 14時~16時
会場:衆議院第1議員会館 第1会議室
主催:NPOうぐいすリボン
協力:コンテンツ文化研究会、NPO Contents Creation Coalition
参照:園田寿『情報社会と刑法』(成文堂,2011年)152-153頁
「絵」について写真やビデオは,生きた人間の描写である。児童ポルノでも生身の子供が被写体となる。たとえそれが演技であったとしても,撮影の際に子供に対する性的暴力がなされたことは間違いない。何よりもこの点が,児童ポルノをいかなる観点からも正当化できない理由となる。
当初の法案段階では児童ポルノの媒体として「絵」が含まれていた。児童を素材とするポルノチックな絵で表現されているものは,児童を性的な対象とする性癖そのものなのである。被写体が実在するケースとこれらは区別して考えなければならない。したがって,たとえランドセルを背負った女児との性行為をリアルに描いたようなイラスト類であっても,それは本法にいう「児童ポルノ」ではなく,「その他の物」にも含まれない。被害児童を写真と同程度にリアルに描写した絵は,「その他の物」に該当すると解釈することは可能であるし,今後も現実の性的虐待の現場の記録する手段としては,ほとんどが写真やビデオであるだろうから,ことさら「絵」を特別に規定する必要性はない。
さらにコンピュータによって合成された(疑似)児童ポルノ(子供の顔を成人女性の下半身と合成したもの)や成人女性を使った(擬態)児童ポルノ(成人女性にセーラー服を着せたものなど)も現実に虐待された児童は存在しないために,本法の対象となりえない。今後,そのような表現物を規制対象とするならば,個々の被害児童の権利を保護する本法の射程範囲を大きく逸脱することになるだろう。