2017年9月12日火曜日

米国離脱後のTPPと改正著作権法の行方

寄稿:山田奨治 (情報学者 国際日本文化研究センター教授)



 日本はTPP合意を期に、著作権の保護期間を70年に延長し、一部非親告罪化するなどの法改正をした。そして改正法施行の条件であるTPPの発効を待っている。ところが事前の予想通り、米国の新政権はTPPから離脱し、12カ国が合意した協定は宙に浮いてしまった。それにより改正著作権法は、成立したが施行される見込みのない「塩漬け」状態になっている。
 著作権を含む知財保護強化は、米国が強く主張してTPPに入ったものだ。それを呑むことで米国を含む自由貿易協定が実現するなら、総合的にメリットがあると判断したからこそ合意したのだ。米国が抜けたのならば知財保護強化はやめないと、米国から何も得ないまま譲歩だけすることになる。
 その米国抜きでTPPを進めようという、いわゆるTPP11の協議が行われている。報道によると、一部の国は知財部分の凍結を、当然のように主張している。ところが日本からもそうした主張をしているとは伝えられない。国益を訴えてTPP参加を決めたひとびとが、そうした態度なのはどうにも理解に苦しむ。
 それよりも気になるのが、TPPもTPP11もRCEPも密室協議で、そこで物事を決めて国内法を変える手法に、わたしたちが慣らされつつあることだ。グローバル化の推進者が国民国家を動かす力とスピードに、民主主義の深化が追いついていない。それが、いま多くの国で国民が直面している課題である。