2015年12月15日火曜日

韓国訪問に関して

 11月22日から25日にかけて韓国ソウルを訪問して、著作権及び非実在児童ポルノの関連法制について各界との意見交換を行いました。


(韓国国会の本会議場にて)

 山田太郎 参院議員 (MANGA議連事務局長代行) から、マンガ規制が実際に施行された場合にどういうことになるのか実態を踏まえて考えたいとのお申し出があり、うぐいすリボンと以前から交流のあった韓国の国会議員やNGO関係者などを紹介させて頂いた次第です。




関連記事:

◆ 韓国でのマンガ・アニメ・ゲームの表現の自由調査結果資料(山田太郎事務所)
 http://taroyamada.jp/?p=8347

◆ ウェブマガジン:MANHWAIN  (韓国語)
 「日本の山田太郎 国会議員 訪韓 - アチョン法、著作権改正に関連した調査のためオープンネット訪問」
 http://manhwain.com/xe/article/5249

2015年8月14日金曜日

韓国弁護士連合会の声明

韓国弁護士連合会の声明
http://www.koreanbar.or.kr/notice/board04_list.asp


著作権法第140条の早急な改定を求める

[성명서]저작권법 제140조의 조속한 개정을 촉구한다

1957年に制定された著作権法は、権利侵害の救済方法に関して民事的な方法を優先しながら、刑事的には、被害者の告訴がなければ処罰することができない親告罪とした。

しかし、2006年著作権法の改定により、いくつかの著作権侵害行為が非親告罪化された後、第3者による著作権関連の刑事通報が急増し、善意の被害者が量産されているのが実情である。

一般的な犯罪とは異なり、著作権の場合には、権利を侵害された被害者は、損害賠償を受ければ処罰を望まない場合が殆どであることから、著作権者の意思に反して捜査が行われたり、第3者の告訴する権利を認めることは、著作権制度の意義と著作権の人格権的性格にも合致しない。

国会は、いくつかの団体が国家刑罰権を悪用して、多数の善意の被害者を量産する現実を直視して、一刻も早く著作権法140条に規定された非親告罪の規定を親告罪化すべきである。



2015.7.20

2015年6月21日日曜日

【賛助会員募集】

平成26年度分の事業報告等を公開しました。
特定非営利活動法人うぐいすリボンは、今年度も日本財団から情報開示レベル5つ星(最高)の評価を得ることができました。
http://fields.canpan.info/organization/detail/1500866312

賛助会員を募集中です。「自由な社会」と「豊かな文化」を次の世代に遺すために、ぜひ活動に御協力くださいませ。
http://kessai.canpan.info/org/uguisumembers/



2015年6月20日土曜日

「同人誌調査員」の委託業務に関して

【6月20日・追記:結果について】

「同人誌調査員」として選抜された方には、6月20日に、研究主宰の白田秀彰先生から、調査票に記入したメールアドレス宛ての通知が発送されました。残念ながら選ばれなかった方には、特に連絡等はございません。応募者の方は、各自メールをご確認下さいますよう、よろしくお願いいたします。


【5月24日・追記】 調査員の応募は定員になりました。キャンセルで空きが出る可能性があります。



 法政大学の白田秀彰先生が、著作権とキャラクター表現の問題について研究するために、「同人誌調査員」を一般から募集されるとのことです。


 6月14日に説明会を開催しますので、夏休みに研究調査のバイトをしたい学生さん等は、ぜひご参加くださいませ。


業務期間:

8月24日~9月12日間の図書館開館日のうちから任意の3日間を選ぶことが可能です。
ただし、図書館側との調整で期間が少々変動することがありえます。

勤務場所:

明治大学 米沢嘉博記念図書館 (御茶ノ水)です。

業務内容:

指定されたマンガ同人誌を読んでキャラクターの類似性の判定を行い、指定されたチェックシートに記入していただきます。

報 酬 :

マンガ同人誌一冊すなわちチェックシート一枚当たり1000円。一人当たり40冊程度割り当てとなりますので、40000円前後となります。
具体的な割り当て数には変更がありえます。
また、上限付きですが、自宅とお茶の水間の公共交通機関利用での交通費も支給されます。

研究主宰:

白田秀彰 (法政大学社会学部 准教授)

事前選抜:

採用のための事前選抜を6月14日(日)の18時30分から「文京スカイホール」にて開催します。
調査員志願者は、この事前選抜に参加して下さい。配布する調査票に記入をして頂きます。(拘束時間30分程度)
事前選抜に参加して下さった方には、採用・不採用に関わらず、薄謝として1000円を支払います。

持参するもの: 

マークシート記入用鉛筆 / 領収書記入用ボールペン等 / 印鑑を準備してください。(印鑑を持たない方もサインで対応できます)

2015年6月14日日曜日

「マンガ・アニメ・ゲームキャラクターの人物表現における類似判定に関する調査」報告会

 2015年6月14日に開催した「マンガ・アニメ・ゲームキャラクターの人物表現における類似判定に関する調査の中間報告会」には、著作権や同人文化に興味をお持ちの方を中心に約70人が参加して下さいました。また、同時に開催した「同人誌調査員」の選抜会にも多数の方が応募して下さいました。参加者・応募者の皆様に、この場を借りまして、御礼を申し上げます。


報告者:白田秀彰 (法政大学社会学部 准教授)

(写真提供:マンガ論争編集部)


日時: 2015年06月14日(日) 18時30分から
場所: 文京シビックセンター26階・スカイホール

内容: 
 著作権のあり方とキャラクターの表現の類似性の問題について、調査研究を行っている法政大学の白田秀彰准教授をお招きして、現在行っている実証研究の中間報告をして頂きました。 



【報告者:白田秀彰氏より】
 マンガ・アニメ・ゲームを主題とした二次創作同人誌は、一般的な認識として、何らかの形態で著作権を侵害しているものと評価されている。こうした一般的な認識があるため、法の改正や侵害規定の変更で、取り締まりが強化されるという懸念を生んでいる。たとえばTPPに伴って非親告罪化されれば、著しく取り締まりが強化されるといった主張である。 

 ところが、著作権の判例や学説をみると、著作権の侵害は、特定の部分ではなく全体的な類似性で評価されるべしとされており、あるいは創作性のある部分のみが保護され、事実の記述や平凡な表現が類似していても侵害ではないとされている。また、画風や作風は保護の対象ではなく、具体的な表現ではないアイデアもまた保護の対象ではないとみるのが通説である。 

 すると、二次創作同人誌は、原作から逸脱した物語に原作とは別の構図やポーズの絵を組み合わせて制作されているのだから、そもそも著作権を侵害したことにはならないと考えるべきである。しかし、そのように一般に認識されていない理由は、原作の「世界観」や「キャラクター」を用いているからであると考えられる。ところが「世界観」はまさにアイデアであり、これを著作権で保護することは困難であろう。また「キャラクター」については著作権の保護が及ばないことが通説である。とすれば、二次創作同人誌は本質的に著作権侵害にあたらないことになる。 

 この問題点に気が付いている一部の実務家や研究者は、絵画表現としての「キャラクター」に対して著作権の保護を及ぼすべきことを主張している。その立論には一定の説得力があると考える。とはいえ、それは原作の「キャラクター」を用いた場合である。二次創作同人誌で描かれている「キャラクター」が、そもそもオリジナルと似ていなければ、「原作へのアクセス」と「原作との類似」で侵害となるとする著作権法の原則から考えて、侵害に当たらないと考えるべきだろう。 

 こうした問題意識を背景にして、2012年から2014年まで、一般の人がマンガ・アニメ・ゲームキャラクターの人物表現に対して、どのように「似ている・似ていない」を判定し、またそれはどのような傾向を持つのかを調査してきた。その結果、調査用に準備したキャラクターのイラスト群に対して、一般的な傾向が存在することが明らかになった。2015年では、この一般的な傾向と合致する類似判定を行う調査員を10名程度集め、さらに類似判定に関する調査を継続する予定である。 

 本報告会は、2014年までの研究の成果概要について報告し、関心のある諸氏と意見交換し、また、2015年調査のための調査員選抜のためのアンケートを実施することを目的としている。性質上、アンケートは報告会に先だって行われる。拘束時間は30分ほどを予定している。このアンケートには謝金が支払われる。一般的な類似性判定傾向をもつとして選抜された被験者には、調査員として業務の委託を依頼する予定である。この業務の期間は、8月24日~9月12日のうち任意の三日を予定している。 (白田秀彰)


参照:
 コンテンツの創作・流通・利用主体の利害と著作権法の役割

2015年5月17日日曜日

講演会「忘れられる権利」と「知る権利」の衝突

 2015年5月17日に開催した講演会「忘れられる権利と知る権利の衝突 ~実名報道、新聞データベース、図書館の今後を考える~」には、図書館関係者やマスコミの法務担当者を中心に、約80人の方が参加して下さいました。

 講師の大屋雄裕先生と橋場義之先生、事例報告をして下さったヤフー株式会社の吉田奨様、後援をして下さった日本インターネットプロバイダー協会様と日本図書館協会様、そして参加者の皆様に、御礼を申し上げます。



演題:
 「忘れられる権利」と「知る権利」の衝突
  ~実名報道、新聞データベース、図書館の今後を考える~

講師:
 大屋雄裕さん (名古屋大学教授)
 橋場義之さん (元上智大学教授/元毎日新聞編集委員)





日時:
 2015年5月17日(日) 14時~16時
場所:
 あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター) 3階 会議室B


内容:
 過去の報道などについて、「忘れられる権利」を根拠に、公開方法あるいは公開自体の制約を認めるべきか否かが議論になっています。
 これは、インターネット検索エンジンのあり方に限られた問題ではなく、新聞記事データベースや、図書館におけるバックナンバーの保蔵など、情報の収集や保管に関連する広い範囲に影響を及ぼす可能性のある論点になってきました。
 講演会の前半では、「忘れられる権利」とは何かについて、法哲学者の大屋雄裕先生に解説して頂き、後半では、日本における新聞記事データベース等のこれまでと今後について、新聞学者の橋場義之先生に解説をして頂きました。


講演1:

「忘れられる権利」:欧州の現状と個人情報保護 (大屋雄裕)




講演2:

新聞社のニュース図書館 (橋場義之)




 また講演終了後には、ヤフー株式会社ネットセーフティ企画部長の吉田さんから、「検索結果の非表示措置の申告を受けた場合のヤフー株式会社の対応方針」についての紹介をして頂きました。


主催:
 (特活)うぐいすリボン

後援:
 (一社) 日本インターネットプロバイダー協会
 (公社) 日本図書館協会

写真提供:
 マンガ論争編集部



  皆様へのお願い

今後も講演会等を継続するために、皆様からの寄付を必要としています。クレジットカード、コンビニ支払、銀行振込、ゆうちょ振替で簡単に決済できますので、ぜひ御協力くださいませ。




2015年3月9日月曜日

TPPと著作権法非親告罪化について考える

 2015年3月9日に衆院会館で開催した「TPPと著作権法非親告罪化について考える」には、約80人の方が参加して下さいました。
 講師の山田奨治先生、会場手配をして下さった阿部知子議員、急遽スピーチをして下さった徳永エリ議員山田太郎議員、その他ご支援くださった与野党の関係者様と、参加者の皆様に、御礼を申し上げます。


(写真提供:マンガ論争編集部)

演題:
 TPPと著作権法非親告罪化について考える
講師:
 山田奨治さん (国際日本文化研究センター教授)
日時:
 2015年3月9日(月) 17時~19時
場所:
 衆議院第2議員会館 第1会議室
主催:
 NPO法人うぐいすリボン

内容:
 TPP交渉で難航している分野の一つが知的財産権分野です。
 中でも著作権法の非親告罪化の是非が注目を集めていますが、日本とアメリカとでは著作権制度の体系が大きく異なるため、仮にTPPでこれが締結された場合、その後の国内法整備を適切に行わなければ、日本のコンテンツ利用や情報通信への深刻なダメージが予想されます。
 本講演会では、TPPと著作権法の今後について、「条約で求められる適用範囲」と「国内法整備段階における裁量余地」の問題、日本における「著作物登録制度」や「フェアユース規定」の是非、米国で検討中の「TPA法案」の問題などを中心に、著作権法制に詳しい国際日本文化研究センター教授の山田奨治先生に解説して頂きました。

【当日の配布資料】



【ニコニコ動画】
(本講演の動画を、一般社団法人インターネットユーザー協会さんが撮影・投稿して下さいました。ぜひご覧くださいませ。)



◆紹介記事

 BLOGOS編集部

 弁護士ドットコムNews
 <TPP>著作権侵害の「非親告罪化」が実現したら、どんな問題点があるのか?