2014年4月24日木曜日

児童ポルノ禁止法改正案 「みだりに所持」「性的好奇心目的所持」について

 刑法学者の園田寿先生(甲南大学教授)が、児童ポルノ禁止法改正案の「所持規制」について、コメントを寄せて下さいました。


加筆・修正版がYahooニュースに掲載されました。
ぜひそちらの方をご覧くださいませ。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/sonodahisashi/20140424-00034758/



■1■「みだりに」の文言

「みだりに」とは、「故なく」とか「正当な理由なく」といったような意味で使用される法律用語ですが、非常に曖昧な運用を許す言葉です。

 たとえば、マンション玄関の郵便受けに反戦ビラを配るために、マンションの玄関に立ち入った行為が建造物侵入(正当な理由のない立ち入り)に当たるといった判例があります。

 この改正案が通れば、出版社や書店、流通は、自らの在庫を総点検することが求められることになると思います。これは、罰則がなく、努力規定といった体裁になっていますが、事実上、かなりの強制力をもった強烈な規定になると思います。定義には変更がありませんので、適用次第によっては、表現・出版の自由に対する大きな侵害になりうる規定だと思います。


■2■「自己の性的好奇心を満たす目的で」の文言

 この文言も行為を限定する機能はないと思われます。

 確かに、一般的には「目的」を入れることによって行為が限定されることはあります。たとえば、通貨偽造罪は「行使の目的で」(使用するつもりで)偽札を作った場合を通貨偽造罪として重く処罰していて、「行使の目的」がなければ特別法で軽く処罰しています。このように、目的規定があることによって行為が限界づけられることはあります。

 しかし、このような目的犯には実は2種類あるのです。

 たとえば、刑法92条に外国国章損壊罪という犯罪があります。
刑法第92条 外国に対して侮辱を加える目的で、その国の国旗その他の国章を損壊し、除去し、又は汚損した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

 これも目的犯です。しかし、この場合の目的は行為を限定する機能はありません。客観的に外国の「国旗その他の国章を損壊し、除去し、又は汚損した」者は、その内心では外国を侮辱する目的があったと認定されるのです。これと改正案はまさに同じものだと思います。しかも、定義がそのままですので、運用によっては大変恣意的で、おそろしい運用の危険性があります。たとえば、ある人がいわゆるグラビアアイドルの写真集を何冊かもっていたとします。この場合は、それが3号ポルノに該当すると判断されれば、それを持っていることじたいが、「自己の性欲を満たす」ためであると客観的に評価されることになります。

 そもそも「児童ポルノ」の問題性はここにあるわけで、本来、人の心の中は外からは分からないわけですが、児童ポルノはその人の心の中を証明する情況証拠なのです。児童ポルノを所持していたという事実から、その人が児童を性の対象として見ているという性癖が「証明され」、そして社会的に糾弾されることになるのです。この点が一番問題だと思います。

2014年4月4日金曜日

解説:ロシア同性愛宣伝禁止法

解説:ロシア同性愛宣伝禁止法
 ~性表現規制をテコにした、言論とセクシュアリティの抑圧構造~



講師:
 大江泰一郎さん(静岡大学名誉教授/元 静岡大学附属図書館長)
日時:
 2014年4月4日(金) 14時~15時30分
場所:
 参議院議員会館 講堂


内容:
 ロシア法・ソビエト法研究の国内第一人者として知られる比較法学者の大江泰一郎氏をお招きして、ロシアの同性愛宣伝禁止法(2013年制定)について、現在の条文及び運用と、そのような立法が行われた歴史的・法文化的な背景を解説して頂きました。



主催:
 特定非営利活動法人うぐいすリボン



2014年3月29日土曜日

政治漫画と世論:その役割と限界を考える

 2014年3月29日に開催した講演会「政治漫画と世論:その役割と限界を考える」には、広島県内を中心に約20人の方が受講して下さいました。
 講師のロナルド・スチュワート先生と、参加者の皆様に、お礼を申し上げます。

演題:
 「政治漫画と世論:その役割と限界を考える」

講師:ロナルド・スチュワートさん (県立広島大学 准教授)
日時:2014年3月29日(土) 13時から14時30分
場所:広島オフィスセンター 第1会議室





内容:
 県立広島大学のロナルド・スチュワート准教授による、日本と諸外国における、マンガの政治表現の扱われ方についての講演会。
 風刺漫画の社会的な役割や、『はだしのゲン』が海外でどのように受容されたかなどの国際比較を通じて、日本の漫画の政治表現の特徴と各種の規制について語って頂きました。

主催:
 うぐいすリボン
 メディア文化の自由を考える中国・四国の会


講演「政治漫画と世論」スライド



年表:英語圏における『はだしのゲン』



論文:英語版『はだしのゲン』



報道
 ◆中國新聞【「はだしのゲン」平和教材にも 広島市南区で准教授 米の現状報告】

2014年3月23日日曜日

風営法ダンス営業規制の現状と、改正に向けた取組の今後

講演:風営法ダンス営業規制の現状と、改正に向けた取組の今後
上映:ドキュメンタリー映画『SAVE THE CLUB NOON』

 2014年3月23日に開催した「風営法ダンス営業規制の現状と、改正に向けた取組の今後」には、富士・富士宮地域のクラブファンを中心に、約40人の方が参加して下さいました。
 参加者の皆様と、講師の齋藤貴弘先生、映画『SAVE THE CLUB NOON』製作委員会様、企画運営に協力して下さったNPO東海道・吉原宿様に、心から御礼申し上げます。






内容: 
 Let's DANCE署名推進委員会の共同代表で、弁護士の齋藤貴弘先生に、風営法ダンス営業規制の論点と、ダンス文化推進議員連盟からの法改正に向けた提言を紹介して頂く機会に合わせ、ドキュメンタリー映画『SAVE THE CLUB NOON』の上映会を行いました。

(撮影:富士市民活動センター)

講師:  齋藤貴弘さん (弁護士/Let's DANCE共同代表) 
日時:  2014年3月23日(日) 13時~16時15分 
場所:  富士市民活動センター コミュニティf 

主催:  NPO法人うぐいすリボン 
協力:  映画「SAVE THE CLUB NOON」製作委員会  NPO法人東海道・吉原宿


 齋藤先生からは、不必要な規制の撤廃を求める提案と同時に、騒音等の被害が近隣に及ばないようにするための合理的な規制の方法論についても紹介があり、それを受けての会場とのディスカッションでは、署名活動に協力してきたクラブファンはもちろん、警察大学校の教官や行政法学者などの専門家、市議会議員からも、様々な角度の意見・質問・情報提供が出され、たいへん活発な議論となりました。
 また、今回は、「音楽とまちづくり」「都市のコンテンツとしてのクラブ文化」といった視点から、風営法の適正化が、アート系のまちづくり活動が盛んな吉原に新しい文化産業を隆興させる可能性についても、意見交換が行われました。

◆ 当日の配布資料



参加者の方の感想など
 ・MASTER MASTER -blog-
 ・太陽の下へ。
 ・Fuji映画館復活プロジェクト
 ・山下いづみ Blog
 ・富士市議会議員 小池よしはる

2014年2月22日土曜日

講演会「日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか」

 2014年2月22日に開催した講演会「日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか」には、約50人の方が参加して下さいました。




 講師の山田奨治先生と、参加者の皆様、共催の表現規制を考える関西の会さんと京都大学KUSACさん、後援をして下さった人文書院さんに、心から御礼申し上げます。







内容: 
 著作権の問題に詳しい国際日本文化研究センター教授の山田奨治先生に、日本の著作権法制の問題点について解説をして頂きました。 
 違法DL処罰化へのプロセスを紐解き、これまで日本の著作権法制がどのように推移してきたかを見た上で、TPPが発効した場合に予想される「著作権侵害の非親告罪化」が、パロディやコスプレに与える影響等についても論じて頂きました。





講師: 
 山田奨治さん (国際日本文化研究センター教授) 
日時: 
 2014年2月22日(土) 19時から21時 
場所: 
 キャンパスプラザ京都 第4講義室 

主催: 
 NPO法人うぐいすリボン
共催:
 表現規制を考える関西の会
 京都大学KUSAC
後援:
 株式会社 人文書院

参考:
 Twitter中継のまとめ
 ・『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』 山田奨治(著)
 ・山田奨治:著書一覧(Amazon)
 ・朝日新聞【TPPでコスプレの危機? どうなる著作権規制】 (山田先生のコメント)

2014年1月30日木曜日

解説「フランスの児童ポルノ規制」

 フランスの児童ポルノ規制の問題点について、京都大学の曽我部真裕教授が解説して下さいました。ぜひご覧くださいませ。

「フランスの児童ポルノ規制」
http://www.scribd.com/fullscreen/203374735


【抜粋「フランスの児童ポルノ規制」】
「フランスの立法は政治主導でなされることが多いが,児童ポルノ規制についても同様である(その結果,個別には触れないが,条文には技術的な不備も散見される)。児童ポルノ規制については,児童の保護という異論の余地のない正当な目的がある一方で,規制される側は小児愛者という性的少数者,あるいはせいぜいオタクたちであり,両者を同視するわけではないが,いずれにしても社会の多数派からの偏見を受けやすい少数者である。こうした構造のもとにおいては,過剰規制がなされやすいことは明らかであり,フランスでは実際に多数回に渡る改正により網羅的な規制が実現しているのである。日本でも児童ポルノ規制はある種の政治主導で行われており,同様の道をたどる可能性も否定できない。
 これに対応するためには,せめて緻密な立法目的やそのための規制手段の分析が必要である。しかし,フランスでは前述のように立法目的が「小児愛とのたたかい」といった抽象的なレベルで行われており,理論によって規制強化の流れに歯止めをかける構図にはなっていない。この点,日本では事情が異なるが,それによってフランスのような道をたどることを避けることができるだろうか。」



皆様へのお願い
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2013年12月8日日曜日

講演会「同人誌・コスプレの自由と、著作権訴訟」

講演会「同人誌・コスプレの自由と、著作権訴訟」 

 12月8日に広島で開催した講演会「同人誌・コスプレの自由と、著作権訴訟」 は、コスプレイベントの運営者や、地元メディア、法学クラスタなどを中心に、約20人の方が受講して下さいました。講師の岡田先生と参加者の皆様に、改めましてお礼を申し上げます。



講師:岡田昌浩さん (広島大学法学部准教授)
日時:2013年12月8日(日) 13時00分~14時30分 
場所:広島オフィスセンター第1会議室

共同開催:
 メディア文化の自由を考える中国・四国の会
 特定非営利活動法人うぐいすリボン



スライド: