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2019年10月16日水曜日

韓国における児童ポルノの定義の拡大


 この文書は、2019年9月25日に韓国の社団法人オープンネットが国連児童権利委員会に提出した意見書を、日本語に仮訳したものです。
同委員会が策定(9月10日公表、9月26日ローンチ)した「児童ポルノ選択議定書の実施に関するガイドライン」が、児童ポルノの定義を実在児童が登場しない仮想児童ポルノにまで拡大していることについて、懸念を表明する意見となっています。



韓国における児童ポルノの定義の拡大



1. はじめに
Open Netは、インターネットの自由とデジタル・ライツの擁護を使命とする韓国の市民団体です。国連経済社会理事会(ECOSOC)におきましては、「Open Net Incorporated Association」という名称で特別協議資格を有しております。
 私たちは、児童を虐待や性的搾取から保護する国連のすべての取組み、特に児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書の実施に関するガイドライン(以下「ガイドライン」)の起草と、今日におけるデジタル環境の検討に関しての取組みについて、尊重し支援します。このガイドラインには、できるだけ早急に実行されるべき多くの側面が存在します。しかしながら、このガイドラインのいくつかの側面、特にパラグラフ63における児童ポルノ、または「児童性的虐待素材(CSAM)」の部分につきましては、いくらかの検討が必要です。
私たちは、実際または実在の児童に関係するCSAMは根絶されるべきであり、そのようなCSAMの製造、提供、所持については厳しく処罰されなければならないと考えています。しかしながら、私たちの経験は、実在児童が関わるCSAMと同様に、非実在の児童または児童のように見える人物、たとえば絵、漫画、アニメ、仮想表現といったCSAMを処罰してしまうことの落とし穴について教えてくれました。


2. 韓国の児童青少年性保護法における「児童ポルノ」の定義
児童青少年性保護法(以下、「児青法」)は、児童ポルノの定義について現在では次のように定めています[i]。

児童・青少年または、児童・青少年と明確に認識されうる人や表現が登場し、①性交行為、②口腔・肛門などの身体の一部や道具を利用した性交類似行為、③身体の全部または一部を接触・露出する行為で、一般人の性的羞恥心や嫌悪感を催す行為、④自慰行為、のいずれか一つに該当する行為をしたり、⑤その他の性的行為をする内容を表現するフィルム・ビデオ・ゲームまたはコンピュータやその他の通信媒体に表示される画像・映像などの形態になったもの。

児童ポルノの製造、販売、頒布、陳列、所持はすべて韓国で厳しく処罰されており、製造の刑は最も厳しく(無期または5年以上の懲役)、所持の刑は最も軽く(1年以下の懲役または2,000万ウォン以下の罰金)なっています[ii]。「児童性犯罪者」の登録情報は10年から30年間開示および通知され、児童が関連する施設での雇用は、最大10年間制限されます[iii]。


3. 2012年における「児童性犯罪者」の22倍の増加(?)
2011年に、いくつかの連続児童強姦殺人事件が大々的に公表されたことをきっかけに、国会は児青法を改定しました。 この改定は、性的活動に関与する「児童・青少年の描写」という児童ポルノの定義を拡大するもので、「児童・青少年として認識されうる人物または表現」を含むようになりました。この改定は2012年3月16日に施行されました。
児童ポルノ関連の容疑(児青法の第8条)で捜査された人の数は、2012年に2,224人に急増し、前年と比べて22倍以上も大幅に増加しました。

<児青法第8条による摘発件数[iv]>
年
捜査
起訴
不起訴
その他
2010
82
38
26
14
2011
100
58
23
21
2012
2,224
775
433
940

児童性犯罪の件数は増加傾向にありましたが、急激な増加の主な理由は、2011年の児童ポルノの定義の拡大によるものです。韓国で消費される日本のポルノの素材の多くは、学校の制服を着た大人の俳優が演じているものや、児童のように見える漫画のキャラクターのものです。その後、2012年に、ほとんどが20代前半の2,224人が摘発されて、そのような素材をアップロードまたは所持した「児童性犯罪者」として捜査されました。実際に起訴された人々の多くは有罪判決を受け、それに続いて「児童性犯罪者」として登録され、個人情報が一般に開示されて、雇用も制限されることになります。本当の児童とカメラの前でセックスをした犯罪者と同じようにです。これはアニメや俳優の演じたキャラクターが「19歳以上に見える」通常のわいせつ素材の販売業者とは全く異なる取扱いです。
架空の実在しない児童との架空のセックスを、本物の児童とのセックスと同様に扱う韓国の法律は、興味深い結果を生み出しました。アニメキャラクターの裁判を担当した弁護士の1人は、法廷で次のように主張しました。「想像上の性的キャラクターの年齢を理由に処罰をする場合、年齢はどのように測定すればよいのでしょうか。例えば、擬人化された動物や地球外生物はどうなりますか。問題となっている吸血鬼たちの年齢が、平均で100歳を超えているような場合はどうしますか」 弁論を聞いた裁判官は、訴因を児童ポルノからわいせつに変更しました。
捜査された人の数が大幅に増加したとき、起訴の割合が2011年の58%から2012年の35%に低下したことは注目に値します。また、捜査の約半分は「その他」に分類されました。これは、捜査の多くが本物の児童ポルノを含まない事件に関するものだったことを意味します。児童ポルノとわいせつとの最大の違いは、所持のみで処罰されることです。 また、法律は身体部位の露出も罰するため、日本ではR-15とレーティングされている性行為の登場しないアニメをダウンロードしたことを理由に処罰を受けたという事件もありました。
さらに言えば、インターネットで流行している日本の漫画や制服ものポルノをアップロードまたはダウンロードした無知な若者を取り締まる方が、本物のCSAMの製造や児童への性暴力事案のようなより深刻な犯罪を追跡するよりもはるかに簡単だったため、警察官はコンピュータの前で多くの時間を費やしてしまいました。児童強姦事件の被害にあったある女性はテレビで、「私の経験では、ポルノは人々に児童強姦をさせません。そのような性格があり、そうするように育てられた人々は、関係なくそうします。 ネットサーフィンを止めて、外に出てきて、本当の犯罪者を捕まえてください」と訴えました。実在児童と仮想児童に同じ条文が適用されるため、昇進評価に貪欲な警察官たちは、パトロール時間をサイバーパトロールのために費やして、本当の虐待に対処するための警察の仕事を、実際のところは減らしてしまっていたのです。


4. 児童ポルノの定義を絞り込むための児青法の改定
2011年に拡大された児童ポルノの定義が広すぎることに気がついて、2012年の後半に国会は、定義を「児童・青少年または、児童・青少年と明確に認識されうる人や表現」に限定し、所持の処罰を「知りながら」所持していた場合に限定しようとしました[v]。 しかし、改定された定義は、人々が制服ものポルノや、漫画・アニメで起訴されるのを防ぐほどに明確ではありませんでした。
最終的に、この定義の明確化は、刑事法廷の裁判官たちに委ねられました。 裁判所では非実在児童ポルノについては児童性犯罪事件としては無罪であるという判断が出始めました。2013年には、2人の裁判官が、学校制服ものポルノの事件と、アニメの事件について、児童ポルノ法について憲法審査を求める決定をしました。裁判官たちが児童ポルノからわいせつ罪に訴因を変更するように求めるのに加え、多くの検察官たちが「起訴猶予」という形で事件を終わらせるようになりました。起訴猶予とは、実際のところ、他の犯罪で再び戻ってこない限り、恒久的に起訴されないことを意味します。Open Netは、2013年にアニメの事件で起訴猶予となった人に代わって、児童ポルノ法に対する憲法裁判の訴えを起こしました。その後、2014年に最高裁判所は、制服ものポルノは児青法上の児童ポルノの定義に含まれないと判断し、下級審はアニメ事件を無罪としました。
2015年6月、憲法裁判所は児童ポルノ法を5対4で合憲であると判断しました。 反対意見の4人の判事は、「児童として認識できる人物または表象」という定義が明確性の原則に違反しているというOpen Netの見解に同意しました。また、5人の多数意見の判事は、この定義には実在する児童として認識できる人物または表象のみが含まれており、したがって、法律は憲法に違反していないという意見でした。


5. 結論
繰り返しになりますが、私たちは本物または実在する児童を巻き込んだCSAMは根絶すべきであり、虐待者および搾取者は厳しく罰せられるべきと考えています。しかしながら、児童ポルノ法の目標は、架空の漫画キャラクターや童顔の大人ではなく、本当の児童を守ることに焦点を絞るべきです。児童ポルノの定義を存在しない児童のCSAMを含むように拡大した後、漫画やアニメに夢中になっている若者や、時には子どもたちにまで「児童性犯罪者」のレッテルを貼って、その人生を破滅させることのために、多くのリソースが浪費されました。私たちは、リソースは、実際の被害者がいるCSAMの予防と根絶のために、より効果的に使用されるべきであると考えています。




[i] 児青法第2条第4号
[ii] 児青法第11条
[iii] 児青法第50条、第56条
[iv] https://opennet.or.kr/trend/1344 (韓国語)
[v] 2013年6月19日施行

2019年10月4日金曜日

ソウルでの非実在児童ポルノとセックスドール問題に関する会議

 2019年9月、国連児童権利委員会が、児童ポルノ選択議定書の運用ガイドラインを策定しました。存在しない児童の表現への児童ポルノの定義拡大が燻り続けるこの問題について、うぐいすリボンでは懸念を共有する海外の市民団体との国際協力を進めています。

 今回は、非実在児童ポルノ事件で捜査を受ける漫画家や翻訳家等への司法支援活動を展開する韓国のNGOオープンネットさんが主催するトークセッションを後援し、日本からの登壇者として、理事の荻野幸太郎と、ネット・アクティビストの八田真行さんを派遣しました。



トークセッション:
「イマジネーションと行為との差異、そして政府の役割 非実在児童ポルノとセックスドールをめぐる問題」

日時:2019年10月4日(金) 14:45~17:30
場所:スタートアップ・アライアンス・センター(ソウル市カンナム区)




 2019年9月10日、国連児童権利委員会は、各国の児童ポルノ法に、存在しない児童または児童のように見える人の表現を含めることを奨励するガイドライン(パラグラフ63)を発表しました。

“include in their legal provisions regarding child sexual abuse material (child pornography) representations of non-existing children or of persons appearing to be children, in particular when such representations are used as part of a process to sexually exploit children (para. 63).”

 韓国で、児童青少年性保護法が類似の趣旨で改正された際には、児童性的虐待で捜査される人の数が22倍にも増加する事態が起きており、その問題を通じてこのガイドラインの意味について議論しました。また、イマジネーションと行為との間のギャップと、その領域における政府のあるべき役割を、セックスドールの問題を題材に議論しました。

モデレーター:
 パク・ギョンシン (高麗大学教授/オープンネット)

パネラー:
 ダニエル・モグスター (国連人権理事会事務局) 
 荻野幸太郎 (NPOうぐいすリボン)
 ジェレミー・マルコム (プロスタシア財団)
 八田真行 (駿河台大学准教授)
 イ・ソンオク (ライター、ジェンダー・イクオリティ・アクティビスト)
 ヤン・ホンソク (弁護士)
 ケリー・キム (オープンネット)

主催:オープンネット
後援:うぐいすリボン

■ 当日のレポート記事(オープンネット)


(国連表現の自由問題特別報告者のデイビッド・ケイ氏が登壇の予定でしたが、ご親族のご不幸があり、やむを得ずの欠席となりました。また、通信状況の不具合により、髙山佳奈子氏のビデオ参加がかないませんでした)




皆様へのお願い
「表現の自由」のための活動を継続するために、皆様からの寄付を必要としています。クレジットカード、銀行振込、ゆうちょ振替で簡単に決済できます。ぜひご協力くださいませ。昨年度から今年度にかけては、「児童ポルノ選択議定書運用ガイドライン」の問題への対応を行っており、資金を必要としております。

2019年8月24日土曜日

子どもの権利条約と表現規制に関する整理と展望

 2019年8月24日に開催した講演会「子どもの権利条約と表現規制に関する整理と展望」には、法学者やジャーナリストを中心に、約50人の方が参加して下さいました。講師の平野裕二さんと、参加者の皆様に、お礼を申し上げます。

演題:子どもの権利条約と表現規制に関する整理と展望
日時:2019年8月24日(土) 19時から20時30分
場所:文京シビックセンター 26階 スカイホール


講師:平野裕二さん(Action for the Rights of Children代表)

主催:NPO法人うぐいすリボン
共催:女子現代メディア文化研究会

 子どもの権利条約の専門家である平野裕二さんをお招きして、今年3月の国連児童権利委員会からのパブリックコメント募集が話題になった「児童ポルノ選択議定書ガイドライン草案」(特に非実在児童の描写や、文章・音声表現への拡大の問題)の問題と、その背景について解説をして頂きました。

講演抄録「子どもの権利条約と表現規制に関する整理と展望」
(2019年9月17日アップロード)

 ガイドラインの問題に関しては、平野さんがfacebookで記事を書いて下さっているので、ぜひご覧ください。
https://www.facebook.com/yujihirano.arc/posts/569264370235436


参考資料:

 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書の実施に関するガイドライン(日本語訳)
 CRC/C/156
 配布:一般(2019年9月10日)
 原文:英語(PDF)
 日本語訳:平野裕二(日本語訳PDF)

 平野裕二 (2002)「子どもの売買、子ども売春および子どもポルノグラフィーに関する子どもの権利条約の選択議定書の解説・翻訳」『AMI連絡帳 Vol.2 マンガ表現規制問題を考える 何が「有害」なのか?』 pp15-21




皆様へのお願い
「表現の自由」のための活動を継続するために、皆様からの寄付を必要としています。クレジットカード、コンビニ支払、銀行振込、ゆうちょ振替で簡単に決済できます。ぜひ御協力くださいませ。

2019年4月4日木曜日

児童ポルノ選択議定書ガイドライン草案に対するCBLDFからのコメント(仮訳)

 国連児童権利委員会が、2019年2月~3月にかけてパブリックコメントを募集した「児童ポルノ選択議定書の実施に関するガイドライン草案」について、米国コミック弁護基金(CBLDF)が提出したコメントの仮訳を以下に掲載します。(英語の本文はこちらです)



2019年3月29日

OPSCの実施に関するガイドライン草案へのコメント

児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書(OPSC)の実施に関するガイドラインの草案について、我々にコメントを提供する機会を与えて下さりありがとうございます。

Comic Book Legal Defense Fund(CBLDF)は、コミックメディアと、それを使用するクリエイター、小売業者、配給業者、出版社、司書、教育者、および読者のコミュニティの、合衆国憲法修正第1条に基づく権利について擁護することを目的としたアメリカの非営利団体です。

私たちは、子どもたちを搾取や虐待から守るためのあらゆる努力を称賛します。このガイドライン草案には、これらの目標を達成するのに役立つ可能性がある多くの側面があります。しかしながら残念なことに、このガイドライン草案には別の側面があり、私たちの懸念する方法によって、創作表現と犯罪行為とが混同されてしまっています。

第61項では、児童ポルノの定義に、「絵や漫画」、「デジタルメディアの表現」、「印刷物またはオンラインで書かれた資料」などの表現内容が含まれると主張しています。 この主張は、合衆国最高裁判所が、New York 対 Ferber 判決において、児童ポルノを規制する政府の理論的根拠は、特に虐待記録を一掃し、そのような虐待記録を市場から根絶することによって、実際の子供を保護する点にあると述べたこととは対照的です。同じく合衆国最高裁は、Ashcroft 対 Free Speech Coalition において、児童ポルノの定義は絵や漫画などの創作的な画像には及ばないとの判決を下しています。政府にとっての切実な関心事は、実際の未成年者を虐待から保護することであって、創作表現を犯罪化することではないのです。

第62項では、「締約国に対して、あらゆる形態の児童の性的虐待の素材を法律で禁止することを要請する」としています。CBLDFが弁護支援を行ったカナダでの訴訟 R.対 Matheson では、犯罪歴のない25歳のアメリカ市民が、誤って児童ポルノと定義されてしまった創作物のアート作品とともにカナダに入国したとして、起訴されました。事件が裁判所で解決するまでの2年間、彼は仕事や教育のためにインターネットを使うという権利すらも失いました。最終的に起訴は取下げられましたが、それはマセソンが訴訟費用ための数万ドルの借金を抱えてしまった後のことでした。U.S.対 Handley 事件では、政府は、わいせつな児童ポルノであると主張して、創作物のコンテンツを所持していた39歳の退役軍人であるクリストファー・ハンドリーを起訴しました。ハンドリーは裁判で争うことなく司法取引に応じました。彼には犯罪歴はなく、いかなる種類の実際の実写ポルノも持っていませんでした。判決文において、政府は、アダルト・コミック本の単なる所持が、刑務所での心理的治療と監視を続けることを必要とする「性的逸脱」の一類型に該当すると主張しました。これらの訴追は、実際の未成年者を保護するという結果にはなりませんでした、その代わりに、創作物のコンテンツの所持を理由に、コミュニティに脅威を与えない個人を罰したのです。

 パラグラフ63は、"委員会は、「疑似的な性的行為」には、オンライン・オフラインを問わず、現実または擬似的に露骨な性的行為に従事する子どもと見受けられるあらゆる人物の描写もしくはその他の方法によって表現したもの、および性的に露骨な活動に従事する子どもの写実的ないしはバーチャルな描写を含む、と解釈すべきであるとの見解である。そのような描写は子どもを性の対象として見ることを常態化することを促し、子どもの性的虐待物の需要を促進する。" と述べています。最後の一文の主張には論拠の欠如があります。創作コンテンツは現実ではありません。創作コンテンツでは、セクシュアリティ、暴力、犯罪行為に関するタブーが常に探求されてきました。近年の創作コンテンツをめぐる歴史においては、この委員会で採用されたのと同じメディア効果論の議論と関連したモラルパニックの周期が見られます。歴史的に、そのようなメディア効果の議論は疑わしいことが示されてきました。アメリカでは1950年代になると、少年非行の原因として漫画本が調査対象となり、メディア・コンテンツを揺るがすようなモラルパニックのプロモートが行われた結果、読者が大幅に減り、数千人のクリエイティブな専門家が仕事を失うことになりました。政府の最終報告とその後の学術的調査は、そのような関連性がないことを証明しましたが、それは弊害が出る前ではありませんでした。ごく最近では、社会における暴力の常態化と永続化に因果的な影響があるものとして、ビデオゲームが位置づけられています。ブラウン対EMAでは、合衆国最高裁判所は暴力的なビデオゲームを規制しようとする法律を無効にし、憲法違反であると判断しました。この事件では、社会科学研究を含むメディア効果仮説が裁判所に持ち込まれました。裁判所は、それらの研究について、因果関係ではなく相関関係のみを示すことを目的としたものであり、「せいぜい」彼らは「暴力的エンタテイメントへの接触と、非常に小さな現実世界への影響との間に、ある程度の相関関係」を示しただけであると認定しました。現実の人生の厄介な側面を描こうとするメディアの存在について、それらの否定的な実生活の行動を促進したり常態化したりするものであると提示してしまうことは、危険かつ不正確です。

ここまでの段落で説明したような方法による創作コンテンツの訴追は、最終的に、実際の被害者の保護から、いかなる児童虐待も犯していない創作コンテンツの読者や配給者の訴追へと転用されることでしょう。

以上のような懸念をかえりみず、児童ポルノの定義と訴追対象を、創作物の芸術作品や文章を含むものに拡大することは、非常に広い合法的な言論空間をも危険にさらします。ヤングアダルト向けフィクションは、セクシュアリティを日常的に取り扱っています。なぜなら、それはヤングアダルトの読者たちにとっての今の関心事であるからです。虐待サバイバーによる回顧録は、癒しのプロセスの一側面として、虐待の情景の詳細をしばしば描写して説明します。芸術と写真の主流作品は、未成年者が描かれた作品を含むヌードが探求され、描かれ、そして記述されてきた、一連の美術史の中に存在します。これらの合法的に探求されてきた分野のすべてが、本ガイドライン草案に含まれる政府への検閲の要請と、提案される法律が採用された場合に生じるだろう萎縮的効果による自己検閲によって、危険にさらされることになるのです。

児童権利委員会と世界中の政府が、児童の性的虐待を抑制するための行動をとっていることは称賛に値します。いかなる場合も、私たちの努力は、自由な表現を制限することではなく、本当の子供を守ることに向けられなければなりません。

これらのコメントをご検討いただきありがとうございます。


敬具

チャールズ・ブラウンスタイン
事務局長

2019年3月2日土曜日

「このような法がどれほど間違っているかの生ける証拠」シモン・ルンドストロームからの手紙

 国連児童権利委員会が、2019年2月~3月にかけてパブリックコメントを募集した「児童ポルノ選択議定書の実施に関するガイドライン草案」について、スウェーデンの翻訳家シモン・ルンドストロームさんが提出したコメントの仮訳を以下に掲載します。(英語の本文も末尾にあります)




国際連合人権高等弁務官事務所 御中

シモン・ルンドストローム
民間人、スウェーデン

Sirs / Madams

私は、皆様が、児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書の実施に関するガイドラインを作成していることを知りました。

長きにわたって10代の若者たちを主な対象とするマンガを崇拝してきた者として、私はこの文書の2カ所の部分について深刻な懸念を抱いています。パラグラフ56 61と58 63についてです。

パラグラフ56 61には、こうあります。
児童ポルノとは、OPSC第2条で、「用いられる手段の如何を問わず、実際のまたは擬似の露骨な性的行為に従事する児童のあらゆる表現、もしくは主に性的目的のための児童の性的部位のあらゆる表現」と定義されています。(文字強調は筆者による)

さらに、そこにはこうもあります。
「用いられる手段の如何を問わず」とは、オンラインとオフラインを問わず、さまざまなメディアで使用可能なさまざまな素材を反映してのものです。そこには、とりわけ、写真、映画、絵、漫画などの視覚資料が含まれます。音声表現や、あらゆるデジタルメディア表現、ライブパフォーマンス、印刷またはオンラインで書かれた文章、彫刻、おもちゃ、装飾品などの物体も含みます。(文字強調は筆者による)

私は、まともな人なら誰でもそうであるように、ポルノの素材として本物の子供を使用することが法律によって罰せられなければならない・罰するべきであるという点で、皆さんに完全に同意します。しかし、全くのフィクショナルな表現である「絵、漫画、書物、彫刻、玩具、装飾品」のようなものまでをこれに含むことは、絶対にお勧めできません。そればかりか、誰一人として子どもたちを救うことがない措置であるにも関わらず、表現の自由という人権との間で矛盾を生じさせて、不必要なダメージを与え、不安と自己検閲を引き起こすことになります。私は皆さんのその熱心さが、児童ポルノを止めたいとの願いからであることを理解します。児童ポルノを止めることは大変な難題でありますが、皆さんはそれを成し遂げようとしています。しかし、皆さんは、その大切な願いを台無しにしてしまうリスクを冒しているのです。

まず第一に、これは性器のある人形やおもちゃを違法にするでしょう、それはこの提案の本来の目的ではないはずです。さらに、子供の定義はいくつかの国では18才または16才未満、時には15才以下です。この年代の個人、つまりティーンエイジャーを対象とするフィクションは、セックス、セクシュアリティに関しての成長や、性的体験といったテーマに取り組む必要があります。言うまでもなく、それは、あらゆるティーンエイジャーの日常生活についてのことです。上記の規制は、多くのティーンエイジャー向けの小説、例えば15歳の青少年の性的行為について記述したいかなる本をも、違法化してしまうことになるでしょう。無数の彫像や装飾品、そして多くの漫画本の束については言うまでもありません。繰り返しますが、このようなことがこの提案の目的であってはならないはずです。

実際の映像が拡散されてしまうことは、撮影された個人に深刻な被害を及ぼす可能性があるでしょう。しかし、上記の提案は、「誰か」が架空の人物を未成年者とみなすことができる限り、フィクション - 単なる執筆、または想像上の人物の描写 - を明示的に犯罪としてしまうものです。これは思想警察の領域に深く入り込むものであり、非常に危険です。特に「漫画」は高度に象徴化され誇張されているため、年齢についてはっきりさせることは、ほとんどできません。これは、本・漫画の人文的表現への不必要な妨げとなる自己検閲を引き起こすだけでなく、本や図面の犯罪化のための立法に不要な時間と資金を浪費することとなる一方で、実際に虐待されている子供たちをほとんど助けることはないでしょう。

それはまた、これまでの用語に替わり、“use of children in pornographic performances and materials”, “child sexual abuse material” あるいは “child sexual exploitation material”といった用語を使用するよう改めていくべきとのパラグラフ60 65と61 66の提案とも直接に反するものです。これは理にかなった話であり、漫画のキャラクターは本当の子供ではありません。そして、私たちは、子どもについての単なる概念を虐待することを禁じるような法律を持つことはできません - そのような立法は、中世の冒涜罪があった時代にまで、私たちを連れ戻すことでしょう。

パラグラフ58 63は、次のように述べています。
委員会は、「疑似的な性的行為」には、オンライン・オフラインを問わず、現実または擬似的に露骨な性的行為に従事する子どもと見受けられるあらゆる人物の描写もしくはその他の方法によって表現したもの、および性的に露骨な活動に従事する子どもの写実的ないしはバーチャルな描写を含む、と解釈すべきであるとの見解である。そのような描写は子どもを性の対象として見ることを常態化することを促し、子どもの性的虐待物の需要を促進する。

これは端的に言って事実ではありません。そして私は、根拠のない主張に基づく提案をすることが、国連として望ましいことであるとは思いません。本や映画やゲームといったフィクションの中では殺人が起こり、メディアが誕生した日以来、ずっと続いていますが、殺人は未だ常態化されてはいません。本、映画、さらにはインタラクティブゲームでも、フィクションには理由のない酷い暴力がありますが、それでも暴力は常態化されていません。ビデオが誕生した日以来、ポルノ作品にはレイプセックスのシチュエーションが登場しましたが、暴力をともなうセックスは常態化されていません。単なる概念と現実の間には大きな隔たりがあります。 ゲームや漫画本の暴力が犯罪者を生み出さなかったのと同様に、セックスをしている10代や子供の絵の存在は、小児性愛者を生み出すことはありません。

子どもたちがいかなる方法によっても虐待されるのを防ぐため、何かしなければと活動をされていることについては、非常に称賛に値することだと思います。しかしながら、本来の目的から逸れて墓穴を掘るようなことをしないように注意することも大切です。不必要に人々が本や漫画を書くことを禁止することは、役に立ちません。資金や人的資源は、漫画、彫刻、そして絵に対してではなく、本当の犯罪に向けられなければなりません。

子どもたちの性的な場面を描いたマンガなど「必要」がないと考える方もいらっしゃるかもしれません、そして、必要がないから、それを禁じることにも弊害はないのだ、と。しかし、これは2つの点で間違っています。まず第一に、必要性は当然にあります - ティーンエイジャーと子供のための本と漫画は、セックスの概念について取組むことができなければなりません。そして、それは既に行われています。- 無数の本、そして日本からの数え切れないほどの漫画、これらは今日、ヨーロッパや世界中で非常に人気があります。これらを禁じることは、虐待されている子供たちを助けないだけでなく、膨大な資金を必要とし、そして何も成し遂げないことでしょう。現代において、子どもがセクシュアリティを成熟させる時期に、フィクションですらそれを許さないことで身体と性についての記憶をトラウマ化させることは、子どもたちの助けになどならず、むしろ子どもたちを傷付けることになります。第二に、特定の文献に対する「必要性」があるかどうかは、決して規制の議論の入口にすべきではありません - 議論の入口は、それが莫大な損害を引き起こすかどうかであるべきです。この場合、そのような損害はありません。

この文章を読まれた方は誰もが、なぜ私がこのような問題について思いを強くするのか、疑問に思うかもしれません。それは、もちろん、私が本や漫画の熱心な読者であるから、そして文学の力と、実験をしたり・冗談を言ったり・風刺をしたり・嘲笑をしたり・探求をしたりといった自由に、大きな価値があると考えているからです。マンガ本は、暴力や感情、英雄的事柄やセックスを誇張して、人々の想像力をかきたてます。そのことの大切さ、私がほとんど知らなかったこれらの感情を読めることが、ティーンエージャーにとってどれほど大切なことであるかを、私は日本のマンガを愛する者の一人としてよく知っています。国連が、10代の性的状況を書いたり描いたりすることを禁止することを望んでいると聞くのは、非常に心配なことです。それは思慮深さや文学の重要性についての大きな無知を証明するだけでなく、言論の自由の重みを理解することの失敗を意味しています。そして実際には、とても望ましくない表現や発言であっても許可するということが、いかに重要かを意味しています。他人の自由を脅かさない限りにおいては、です。そしてこの場合、そうではありません。私たちは現実社会での強姦や殺人、強盗を望んでいませんが、フィクションと現実が2つの非常に異なるものであることを知っているからです。

マンガにおける未成年者の性の描写が、「子どもの性的虐待物の需要を促進する」という主張を国連が裏書きするであろうということも、また非常に心配です。これは根拠のない主張であり、一般に「道徳的ヒステリア」と呼ばれる人々によって唱えられているものであり、立法の根拠となるべきものではありません。これは、本を読むことが若者を犯罪に走らせるという1800年代の主張、コミックが若者を犯罪に走らせるという1940年代の主張、あるいはビデオゲームが若者を犯罪に走らせるという1990年代の主張を彷彿とさせます。私たちが見てきたように、そうではありません。フィクションに登場する非常に望ましくない概念の存在が、社会を変えてしまうことはありません。

私は、このような法がどれほど間違ったことを引き起こす可能性があるかの、生きた証拠です。漫画本の研究者として、私は何千もの本と何百万もの絵を持っています。私は、紙の上のインクに他ならないものを所持していたことを理由に訴追されました。結局、私は有罪になることはなく解放されましたが、39枚に及ぶマンガの絵の中の架空の人物が未成年者かどうかを判断するために、数年間にわたって資金と人的資源が費やされました。それらの資金と人的資源は、困っている子供たちを助けるために直接投入することだってできたはずのものでした。こんなことになってしまったのは、法律の条文が漫画のキャラクターが本物の子どもでないことを認識していなかったからです。私自身の時間と苦しみはこの問題には関係ありません - 壊滅的だったのは、警察と弁護士が、本当なら全く不要だった茶番に時間を費やさなければならなかったということでした。

国連の皆さんには、過剰包含が有害である可能性があることを認識してほしいと思います。そして、ご自分の力を子供たちに危害を加え虐待する人々への対策に集中させ、根拠のない恐れに基づいて文学とフィクションを規制することによってより多くの危害を引き起こすことを避けてほしいと思います。それが、私の心からの希望です。

敬具
シモン・ルンドストローム
スウェーデン





シモン・ルンドストロームさん

 1973年生まれ。翻訳家として日本の漫画・アニメ作品を数多くスウェーデンに紹介してきた。代表的な翻訳作品に、『鋼の錬金術師』『ワンピース』『NARUTO』『名探偵コナン』『らんま1/2』など。2010年に漫画の画像を所持していたことを理由に児童ポルノ所持罪で起訴されるが、2012年にスウェーデン最高裁判所において、所持していた漫画絵は写実的とまでは言えず表現の自由と比較衡量すると児童ポルノとみなすことはできないとの合憲限定解釈等により、無罪となった。

■ スウェーデン最高裁 漫画絵所持無罪事件

■ 翻訳家シモン・ルンドストロームさん講演会




To
the Humans Rights Office of the United Nations,

from
Simon Lundström
civilian, Sweden

Dear Sirs/Madams,

It came to my knowledge that you are preparing guidelines on the implementation of the Optional Protocol to the Convention on the Rights of the Child on the sale of children, child prostitution and child pornography.

As a long time admirer of the comics medium, much of which is aimed at teenagers, I have serious concerns on two specific details in this document: Paragraphs 56 61 and 58 63.

Paragraph 56 61 reads:
Child pornography is defined in article 2 OPSC as “any representation of a child engaged in real or simulated explicit sexual activities, regardless of the means used, or any representation of the sexual parts of a child for primarily sexual purposes”. (emphasis mine)

Furthermore, it reads:
The qualification “by whatever means” reflects the broad range of material available in a variety of media, online and offline. It includes, inter alia: visual material such as photographs, movies, drawings and cartoons; audio representations; any digital media representation; live performances; written materials in print or online; and physical objects such as sculptures, toys, or ornaments. (emphasis mine)

While I, as would anyone sane, agree with you in that the using of real children in pornographic materials must and should be punished by the law's full extent, including utter fiction, such as "drawings, cartoons, written materials, sculptures, toys or ornaments" is not only highly unrecommendable, it also contradicts the Human Rights Freedom of Expression, and will cause unnecessary damage, fear and self-censorship that will not help any children. I realize your fervent wish to stop child pornography, and it is highly formidable of you to do so, but you are risking to throw out the baby with the bathwater:

First and foremost, this would illegalize any doll or toy that has genitals, which surely must not be the purpose of this suggestion. Furthermore, the definition of children is in some countries any age below 18 or 16, sometimes 15. That fiction aimed at, and/or by individuals of this age – teenagers – needs to address sex, and growing sexuality and sexual acts, needs not to be said – it is the everyday life of any teenager. The above regulation would make many teen novels, in fact any book that describes sexual acts of people of 15 years of age, illegal material. Not to mention countless statues and ornaments, and a mass of comic books. Again, this can surely not be the purpose of this suggestion.

The spreading of real photos of movies is one thing –that can seriously harm the individuals in question. However, the above suggestions explicitly criminalizes fiction – the mere writing, or drawing of imagined characters, as long as "someone" could consider the ficticious characters as underage. This is highly dangerous, as it ventures deep into Thought Police territory, and specifically as "cartoons" are highly iconized and exaggerated, and little can be surely said of any age specifics. Not only will this cause an unnecessary and hampering self-censorship on literature in books and comics, it will also needlessly draw funds from the legislative forces, to spend time and money criminalizing books and drawings, something that will scarcely help children that are actually abused.

It also goes directly against what paragrah 60 65 and 61 66 proposes, to start instead using the term “use of children in pornographic performances and materials”, “child sexual abuse material” and/or “child sexual exploitation material”. Reasonably, cartoon characters are not real children, and we cannot have laws that forbid abuses of the mere concept of a child – that would bring us back to the Middle Ages and blasphemy laws.

Paragraph 58 63 states:
The Committee is of the view that “simulated explicit sexual activities” should be interpreted as including any material, online or offline, that depicts or otherwise represents any person appearing to be a child engaged in real or simulated sexually explicit conduct and realistic and/or virtual depictions of a child engaged in sexually explicit conduct. Such depictions contribute to normalising the sexualisation of children and fuels the demand of child sexual abuse material.

This is merely not true, and I do not think it's recommendable for the United Nations to base a suggestion on unfounded claims. There is murder in fiction, in all books, films and games, and has been since the day the medium was born, yet murder has not been normalized. There is unfounded and gratitious violence in fiction: books, films and even interactive games, yet violence has not been normalized. There has been gratified rape sex in pornography since the day the video was born, but violence and sex has not been normalized. There is a huge chasm between fiction – mere concepts – and reality. The existence of drawings of teens or children having sex will not spawn pedophiles, just as violence in games or comic books did not spawn criminals.

It is very commendable that work is done to by any means stop children from being abused in any way. However, it is equally necessary to be careful so as to not shoot oneself in the foot. Needlessly prohibiting what people can write books and comics about will not help, and funds and manpower must be directed towards the real crimes, and not against cartoons, sculptures, and drawings.

One might think that there is no "need" for such things as cartoons depicting children in sexual situations, hence there is no harm in forbidding it. However, this is wrong, in two ways. First of all, there is a natural need – books and comics for teenagers and children must be able to handle the concepts of sex. They already do – countless books, and countless comics from Japan, which are all very popular in Europe and around the world these days. Forbidding these would not only not help children who are abused, but would cost immense resources, and achieve nothing. In these modern times, further traumatizing nakedness and sex by not even allowing it in fiction, just in the age where children mature to sexuality, will not help, but will cause damage. Secondly, whether or not there is a "need" for a specific literature should never be the point of entry – the point of entry should be whether it causes immense damage or not. In this case, there is not.

Mayhaps anyone who reads this wonders why I feel for this so strongly. This is, of course, because I am an avid reader of books and comics, and because I see the huge value in literature's ability and freedom to experiment, to joke, to jeer and jest, to ridicule and explore. Comic books exaggerate, and extrapolate, both violence, feelings, heroics and sex. As a representative of fans of Japanese comic books, I for one know more than many, how important this is and was for a teenager, to read about these feelings that I knew little of. To hear that the UN would want to prohibit things such as someone writing about, or drawing about, teenage sexual situation is extremely worrying. Not only does it testify thoughtlessness, and a vast ignorance on how important literature is, but it also signifies a failure to understand the weight of the freedom of speech, and how important it is to actually allow expressions and utterances that are highly unwanted – as long as they do not threaten the freedom of others. And in this case, they don't. We do not wish rape or murder or robbery in society, yet we allow it in fiction, simply because we know that fiction and reality are two very different things.

That the UN would sign the claim that cartoon depictions of underage sex would "fuel the demand for child sexual abuse material", is also deeply worrisome. This is an unfounded claim, commonly used by individuals that are mostly referred to as "morally hysterics", and should not be the basis of legislature. This is highly reminiscient of the 1800s claim that reading of books would criminalize youth, the 1940s claims that comic books would criminalize youth, the 1980s claims that home video would criminalize youth, or the 1990s claims that video games would criminalize youth. As we have seen, it does not. The existance of a highly unwanted concept in fiction, does not change society.

I am a living proof of how wrong this law can strike – as a comic books researcher, I have thousands of books and millions of drawings in my possession. I was accused of possession of what is nothing but ink on paper. Though I was eventually rightfully finally freed of charges, several years of funds and manpower were conducted into trying to determine whether the ficticious characters in the 39 comic book drawings where underage or not – funds and manpower that could have been directed to something that would have helped children in need. This only because the law failed to acknowledge that cartoon characters are not real. My own time and suffering does not matter in this issue – what was devastating was that the police and lawyers had to devote time to what was essentially a completely unnecessary farce.

It is my sincere hope, that you at the UN realize that over-extrapolating can be harmful, and that you focus your forces on those who cause harm to and abuse children, and that you avoid causing more harm by limitting literature and fiction based on an unfounded fear.

Yours truly,
Simon Lundström
Sweden